サイレンの日(4)

仕方ないので駅を変えて、九州の小さい某駅で寝ました。駅長さんと思しき人に「待合室で寝ても良いですか?」とおそるおそる聞いてみると、「良いけど風邪引くなよ」と言われました。ありがたいことです。親切な人に助けられて、人は生きていくのだと学びました。おかげでゆっくり眠れました。夜中に暴走族の皆さんが40人ほどお見えになるまでは。

 その夜は、しばしコンビニに避難し、やりすごしました。おかげで寝不足になりましたが、生命には変えられませんので、しょうがないです。人生、諦めが肝心です。

ところで、人間は学習する動物です。唐突に何かと言えば、昨日の教訓を元に、通勤時間は避けた電車に乗りました。地元高校生のみなさんに引かれて汚物扱いされることもなく、無事に広島へ到着しました。広島では原爆ドームやら千羽鶴の山などを見た記憶があります。ただ、長崎に比べて広島の方がメッセージ性を意識しているためか、もっと淡々と事実を伝えるだけの方が威力があるんじゃないかな?と、当時感じた事を思い出します。(今はどうなっているんでしょうね。だいぶ展示内容も変わったのでしょうけど)。市内は小学校の頃に読んだ漫画の「はだしのゲン」のワンカットで、市電が吹き飛ぶシーンが頭の中にあったような気がしたので、市電に乗ってみたりしました。

せっかくなのでお好み焼きを食べよう、と思いましたがどこが良い店なのかわかりません。ダイヤに制限もあるので駅ビルの中で食べました。私はグルメではないので味の良し悪しはわかりませんが、朝から何も食べていなかったので、とても美味しかったです。

 広島を一通り見て回った後、電車に乗りました。岡山辺りだったと思いますが、蕗のような植物が見渡す限り広がっていた風景を思い出します。通り雨の雲の合間から、光の線が数条見えました。貪欲に途中下車して名所巡りをする人がいますが、私の脳は弾力性に富んでいないので、「へえええ。すごい。」と見とれているうちに、電車は通り過ぎてしまいました。まあ、仕方ないですね。