産經新聞

産経が行った11区と自衛隊に関する捏造報道に、ようやく謝罪記事が掲載された。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120726/dst12072603250001-n1.htm

謝罪文からわかることがある。
産経新聞は、自治体に偏見を持っていたということだ。
つまり同紙は、自治体は自衛官に対して拒否感情を持っていると思い込んでいたのだ。それを疑う事をしなかった事が今回の誤報につながった、と述べているようにも読める。

共産党の一部の議員が一部の区役所に圧力をかけていたようだ。もしかしたらその事も産経にこの記事を書かせたのかもしれない。だが、そんなに簡単に区政が揺らぐようであれば、共産党は要らない。

我々の住む基礎自治体は、そのような目で産經新聞に見られていた事に、とても残念な気持ちになった。

産経新聞には思い出がある。

私の実家は産経新聞をとっていた。最初は紙の多さや安さがきかっけだったらしいが、父が正論を定期購読するまでになった。中国との距離の取りかたが他紙と異なり、台湾好きの父はその辺りも気に入っていたようだ。

子どもの頃、当時の学校では朝日新聞を教材に使っていた。家で読む産経との真逆のアジア観に、私は少なからず驚かされた。産経にはアジア蔑視の記事が多いが、的を得ている記事も多かった。色々な見方がある事を知ったことも収穫だったが、一番大きかったのは別の事だ。

産経と比較すると解るが、朝日系のアジア観の底流にも、実はアジア蔑視の感情が流れている事だ。当時は「アジアに土下座」「謝れ」が流行だった。

しかし、産経のアジア記事を読んだ後で、再度読み返すとと強い違和感を感じる事が出来る。「めんどくさいからとりあえず謝っておけ」「謝っている僕たちは大人だ」という幼稚で卑怯な深層心理が時々見え隠れし、実は朝日は謝罪などしておらず、どこまでもアジアに対して上から目線なのだということがよくわかった。

「いま、社会全体が信じている価値観は、実は流行にすぎないのではないか?」という産経の問題提起は、いまも私の価値観の奥深くに眠っている。そして時々顔を出しては、考え方に一定の角度を与えてくれる。

その意味で産経にはとても感謝している。他紙と同様、しょうもない記事や残念な評論も少なくないし、違和感を感じることも多い。しかしそれはさておき、「別の視点を持つ」ということは、かつての「サンケイ新聞」が私にくれた宝物だと思う。