ローマ人に学ぶ

ローマ人への20の質問 (文春新書)

ローマ人への20の質問 (文春新書)

既出「ローマ人の物語」の著者、塩野七生さんの著作。ローマ人に質問をする形で書かれており、歴史の教訓や背景を短時間で読むのに適した本。

個人的に気になった部分をメモしておく。(⇒以降は私のコメント)
1.都市と地方の違いは、機能の違いに過ぎない。都市に地方の機能を入れようとすると混乱が生じる。都市国家の時代、各丘に部族がすみ、平地にはフォロロマーノのような公共施設が立ち並んだが、緑化のための公園などはない。道路によって郊外のヴィラと結び、適切に役割分担をすればよい。
⇒景観形成のヒントになりそうな気がする。
2.五賢帝の時代は、政策の継続性が失われ、エネルギーのロスが拡大した時代だった。ローマはここから300年かけて衰退していく。
⇒日本も施策を頻繁に転換する。特に扶助福祉、教育政策については定着して効果を発揮する前に転換している。転換のための労力に割いている人員と労力、社会的コストは、われわれ自身が考えるよりも多いのではないか。
3.カルタゴとの戦いにおける勝利は、素人ならではの強さと弱さが見られた。第1次ポエニ戦争におけるシチリア沖の海戦において、船の構造など常識のとらわれない発想は、経験不足による失敗と裏腹であったのか。
⇒知らないということは強みにもなり、弱みにもなる。弱みを正しく把握して、強みを殺すことのないようにする。