自治体財政のしくみ

地方自治体の財政の基礎的なことを勉強するのにちょうど良い一冊だと思う。

図解 よくわかる自治体財政のしくみ

図解 よくわかる自治体財政のしくみ

今日は国と地方の財政上の関係についてまとめてみた。

1.国から地方への税金の流れ
2005年の日本全体の税収は87.1兆円。
内訳は、国税が52.3兆円、地方税は34.8兆円。
国税52.3兆円のうち地方交付税、国庫支出金が地方に支払われたあと、国の歳出は61.2兆円、地方の歳出は89.4兆円。
合計は150.6兆円。
63兆円が借金などでまかなわれている。

2.「集権的分散システム」(地方財政審議会神野直彦氏)
国と地方の関係を見ると問題が2つある。
(1)歳入と歳出のあり方を国が決める「集権」
(2)国の決めた政策を自治体が個別に処理する
歳入の自治がない。歳入の項目別の問題点は以下の通り。
地方税
地方税法により税率、課税方法などが決められている
・地方債
歳入面では地方債計画によって発行予定額が規制される。
歳出面では、地方債同意等基準によって歳出目的が規制される。
地方交付税
交付額を国が決定し、交付税措置による国の指導がある。
・国庫支出金(特に国庫補助金
額を国が決め、交付要綱で使い道を限定。

3.税源の地方的偏在
 地方に比べて国は財政錯覚が起きやすい。たとえば、自民党公明党が2兆円の無駄遣いをしても誰も良心が痛まないが、市町村レベルで2億円を無駄遣いすれば、翌朝には首長は失脚するだろう。
 そこで、地方に国の税源を移譲し、財政の自治を確立することで住民のコントロールをしやすくする必要がある。しかし、税源移譲を進めると都市部ばかりに税収が集中する可能性が高い。東京には本社を置く企業が多く、税源が集中している。地方交付税が全国で唯一不交付となっている。国の税源を地方税化することは、地方独自の税源を持つことは東京にとって有利であるが、地方においては同レベルの行政サービスを実現するためには大幅な増税を余儀なくされる。
<住民一人あたり一般財源>(同書から抜粋)
東京
地方税   285,485円
地方交付税       0円
その他    21,481円

島根
地方税    77,387円
地方交付税 247,871円
その他    16,912円

<税源交換>
そこで、地域的偏在性の大きい税目を地方交付税の財源に繰り入れ、小さい税目を税源移譲することが考えられている。住民税の定額、比例部分、地方たばこ税などである。法人関係税も支店や工場の所在地にも配分され、従業者数による課税から事業規模も含めた課税を行うように変更された。