まちづくりの重要なもの

 自称「まちづくりの専門家」という人たちがいる。例えば経営コンサルタント経営学の視点でまちづくりを検証し、それを売り物にしている。
 従来、まちづくり=ボランティアと考えられてきた。しかし、近年の事情が地域を一つの事業体と見て経営学を導入することが有効であるかのように言われている。また、担い手であるまちづくり団体自身も、ここ数年の自治体財政悪化によって主要収入源の補助金が削減されるなど、コストを抑えたまちづくりが必要となっている。経営学がクローズアップされているのはそんな背景もあるのだろう。

 こうしたコンサルタントの中には経営の3資源「人、物、金」を分析指標する手法を用いて、地域の分析を行おうとしたり、「情報」などを加えてみたりしている。これまで、中小商業者によって形成されてきたまちづくり団体の構成員の中には、ある意味公共団体的な、損得勘定抜きの考え方とは違う経営学的手法に新鮮味を感じているようである。

 しかし、経営学の視点からはそうかもしれないが、まちづくりには民間企業とは決定的に異なる部分がある。彼らの言う資源である「人」の参加を保証するために、動機を確保しなければいけないと言う事だ。企業の場合は給与である程度担保できるし、金額によっては募集すれば人が集まる。しかし、ボランティアを主力とするまちづくり活動においては、そうではない。

 中小商工業者に頼ってきた中心市街地のまちづくりは、サラリーマン層にも担い手を広げて展開しつつある。動機の確保の方法も、当然変わりつつあるはずだ。