福祉施策の転換の問題点

近年の福祉施策の転換について、論点ごとに記述しておく。

1市町村中心主義について
 福祉施策は地方自治法改正による中央集権から市町村中心主義への流れの中にある。中央の現状にあわない施策の押しつけから、市町村の状況にあった施策策定が可能になる・・・はずなのだが、現実は思惑通りには行かないだろう。 一つに、市町村行政職員に充分な能力が備わっていないことがあること。職員ごとに仕事への熱意が異なること、中堅クラスに福祉政策全体を見渡せる力が無い職員が固まっていると、福祉政策の必要性に関する有権者の声が理事者クラスに上がっていかないこと。何より、市町村の理事者は一定施策の要請の反映を受けて、偏った考え方の人が見られること。上記により、福祉施策が市町村単位で戦略的に策定されることは、博打のような物である。
 そもそも、市町村中心主義を国家主導で進めると言う事自体が、すでに中央集権にほかならないことを自覚しておいてもらいたい物だ。

2 ノーマライゼーションの推進について
 地域で障害者が健常者とともに普通に暮らせるような社会の建設を進めるため、障害者コロニーの解体を進めると言う方向性が示されている。山の中の人目につかない所に作った施設に押し込めておく施策には私も反対だが、しかし地域の受け入れ態勢がまともに機能する前に障害者を放り出すのはあまりに危険すぎ、無責任だ。
 また、障害者本人ないし、親が集まることには意義がある。お互いに似た課題を抱えている者同士の情報交換は、生活の中でなくてはならない物なのではないか。施策の趣旨のわからない施策担当者が、一律にコロニー解体をはかったとしたら、とんでもないことになりはしないか。