核家族化の虚実<「社会学入門」放送大学

夫婦と子どもからなる通俗的に言われる「核家族」は、1974年を境に増加は頭打ちになっている。しかし、単独世帯と夫婦のみの世帯が増加傾向にあり、この3つをあわせて「核家族」とするならば、核家族化は進行している。

しかし、子育て問題でうまくいかない子育ての原因とされる通俗的な意味合いでの「核家族」は、ここ30年増加してはいないのだ。なぜ「核家族化が進んでいる」などと嘘を言うのだろう。

ひとつに、子どもを巡るむごたらしい事件は、若い人たちの責任だと思いたい人たちがいるのだろう。実際には、その思いたい人たちが作ってきた地域が、子どもたちを蝕んでいるのだが、そのことを指摘されると都合が悪いのかもしれない。

また、「核家族化が進行している」というのは、3世代家族の減少と対をなしていると言う幻想があるのだろう。過去、全ての若い人が夫の親と同居していた訳ではない。兄弟の多かった時代、大部分は同居はしていなかったのだ。そうした常識で考えればわかることが、彼らには受け入れ難い事実を見ないで済ませたいという願望があるのかもしれない。